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キャリアアドバイザーコラム

確定決算主義・公正処理基準について(1)

年度末が近づき、源泉徴収や決算準備で慌ただしくなりつつある方も多いはず。
この時期になると、私は以前に会計専門職の大学院に通っていた頃をよく思い出します。

税理士科目試験の対策や、会社法、租税法、会計監査基準などのレポートに追われていました。
そこで今回のコラムでは、決算時期ということで、
長編3部作にて『確定決算主義と公正処理基準について』まとめてみました。

確定決算主義とは

まず確定決算主義とは、確定した決算に基づいて申告書を作成し提出しなければならない。(法人税74条)
これは会社法438条、439条による企業利益を基に課税所得が算定されることであります。

法人税が網羅的に課税所得を決定するとなると膨大な規定を設けなければならないことから、
便宜的に会社法により公正な会計慣行(会社法431条)のもとに計算される企業利益を利用します。

また法人の取引には外部取引と内部取引があり、外部取引には当事者間の客観的で検証可能な経理処理が可能ですが、
内部取引については法人の判断によって経理処理がされるので、
法人の意思決定機関である株主総会で承認されたものが適正なものということになります。
経理処理を損金経理といい、法人税法2条25号では、法人が確定決算において費用または損失として経理します。

課税所得を計算するには、益金と損金の計算が社会に支持された簿記会計の慣行に従って
計算されたという法的な認識が必要であり、企業利益は法的所得になります。

一般に公正妥当と認められるものに従って処理されることは法的に企業が事実なる慣行に従ったことになり、
その限りにおいて税法上適法性が与えられたことになります。
企業会計原則も、法的に公正な会計慣行としての事実たる慣習の評価を得る認識判断が得られるかぎり、
所得の解釈基準となるのです。

民法92条において本来は、強行規定に違反する慣行は、その効力を認めることが出来ません。
税法は強行法規であるため、税法の規定に違反する慣習は解釈の標準となりえません。

しかし簿記会計は優れた技術的なもので租税法規にその細目にいたるまで
すべてを網羅的にもれなく規定することは実際問題としてできないのが現状です。
そこで税法は企業に対して、確定決算の原則(確定決算主義)により
課税所得の申告に当たっては、その確定した決算に基づいて行います。 (続く)

編集部Nihon Medical Career

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