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キャリアアドバイザーコラム

確定決算主義・公正処理基準について(2)

法人税法施行規則別表四の「各事業年度の所得の金額の計算に関する明細書」によると、
法人が申告書に記載すべき金額の計算については、
法人の確定決算上の損益計算書に掲げられた当期利益を基礎に、これに一定の加算または減算をする様式が示されています。

しかしこれは法人税本来の所得金額の計算方法ではなく、簡易的な計算を便宜的に定めたものに過ぎず、
法人税法はあくまで法的論理に従って法的な所得を求めるよう構成されているものであります。

法人が決算の段階まで企業会計で処理し、課税庁に対する申告書の段階において法人税法の会計が存在すると解していない。
法人税法74条は税法が確定決算に隷属すると解していないからです。

これは申告の正確性を確保するためであり、課税庁がこれに拘束されるのでなく独自に職権調査を行い正当な税額を算定するものであります。
したがって、これらは企業の内部計算に関する事項であり、
決算の基礎となるべき事実が対外的な取引により実現され客観的に定まってあり、
法的に把握しうるときには、税法はその実現したところに従って損益計算を行うべきであるということになります。

たとえこれと異なる決算を法人が行っていても、税法はこれに拘束されず実際に実現されたところによって計算を行うのであり、
負担公平の原則は、確定決算の原則に必ずしもすべてとらわれていません。

要するに、法人の内部計算、対外的な実現を見ないような収益や費用は、
企業の確定決算において対外的に実現しない金額を第三者たる課税庁が負担公平の見地から認定することは適当ではなく、
不可能なのです。

しかし、すべて企業の任意の計算に委ねるということは不適当です。
そこで内部起算に係る損益については一定の限度を定め、その限度内においては企業の行った計算の最終的なものとして認識します。
つまり、企業の計算を必要とする項目について、損金経理を行ったと規定するのは、
企業が決算において、これを損金として処理した場合に限り、その損金とした金額の範囲内で税法上損金として是認します。

公正妥当な会計処理の慣習からすれば基本的に両者は一致しうるので矛盾することは少ないですが、
法人税法74条は企業の決算に計上された利益をもとに法人税額を申告することが
正確な所得を得られる蓋然性が高いからということで規定しただけで、
必ずしも確定決算に示された数額が絶対となるものではありません。

また税法上の「別段の定め」として規定されている領域以外は、
すべて法人の決算における企業利益が課税所得金額であるということでもないのです。(続く)

編集部Nihon Medical Career

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