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キャリアアドバイザーコラム

人口減少がとまらない日本~2018年の出生数、過去最少を記録~

2019年11月28日、厚生労働省が2018年1月1日~12月31日の
人口動態統計(確定数)の概況を発表しました。

※人口動態調査とは・・・
 日本の人口動態事象を把握し、
 人口および厚生労働行政施策の基礎資料を得ることが目的として行われています。

今回の発表で問題になったのは、
出生数が1899年の調査開始以来、過去最少を記録したという点。

2018年の出生数は、前年より2万7,746人減の91万8,400人でした。

一方で、死亡数は戦後最も多い137.6万人(前年比1.4万人増)。
出生数から死亡数を引いた「自然減」は51.2万人(前年比6.8万人増)となり、
初めて50万人を超える見通しで、この自然減は13年連続となっています。

鳥取県の人口が55万人(2019年10月推計人口)ですので、
イメージとしては、たった1年で一つの県がまるまるなくなるほどの人口が減っているということになります。

さらに、2019年においては出生数が86.4万人と、
1899年の統計開始から初めての90万人を下回るとの見通しとのこと。

2005年に110万人割れ、2016年に100万人割れ・・・
驚異的なスピードで少子化が進行中と言えます。

しかも、出生数が90万人を下回るのは、政府が予想していたよりも2年も早かったようです。

この統計より、日本の人口減少が一弾と鮮明になりました。

このままだと何か対策を講じない限り、
日本の人口はさらに減り続けることになります。

その対策の一つとして、昨年秋より幼児教育無償化となりましたが、
そもそも無償化自体が少子化対策の推進に直結しているのでしょうか。

私個人の見解ですが、幼児教育無償化や高等学校無償化などで
「子供を出産しよう」という決断には至らないような気がします。
親として子供を出産しよう!子供を育てていこう!
と思える対策としては非常に薄いと言わざるを得ません。

どちらかというと共働き世帯として政府に求めているのは、
無償化ではなく、「待機児童の解消」だと感じています。

以前に比べ待機児童が減ったとは言え、
保育園に入園する保活で疲弊する親が多いと思います。

保活を1人目で苦労した後、2人目以降も同じ苦労をしたいとは誰も思いません。

例えば、
・待機児童がいるなら保育所を増設する
・保育士の給与を引き上げる
・保育士の補助をする職種を作る

など、無償化にするよりも他に対策はあるのではないでしょうか。

また、それ以外で考えるとするならば、

・妊娠から出産にかかる費用を一部負担ではなく全額負担にする
・社会的に男女問わず産休育休取得を取得しやすい環境を整える 

など、子供を出産しても安心できる社会の環境づくりが大事だと思います。

さらに現在は、5.5組に1組は不妊治療を行っており、
16人に1人は体外受精で出産をしている時代です。

子供が欲しくても授からない・・・
高いお金をかけなければチャンスがない・・・

苦悩している人たちは世の中にたくさんいます。

すでに生まれた子どもたちだけではなく、
今後出生率をあげていく一つの対策として、不妊治療を保険適用外から、
保険適用にするということも少子化対策の一つになるのではないかと感じています。

ちなみに他の国の少子化対策としては、どのようなことがされているかというと、
例えばハンガリーでは子どもを4人以上産んだ女性には
「一生所得税免除」といった制度もあるようです。

またフランスでは、子供の数が多いほど所得税が減税されます。

その他、一人っ子では支給がないですが、家族手当があったり、
2歳以下の子供がいて3人目が生まれてからの引っ越しに対しての補助。
住宅補助や中学、高校で奨学金等もあるようです。

経済的な子育て負担を軽減する支援が所得と子供の人数に合わせて行われていることも、
フランスが高い出生率を保っている理由の一つなのかもしれません。

日本の少子化対策、
目先のことだけではなく長い目で考えて対策を打ち出していっていただきたいと切に願っています。

子育てするのに難しい時代や環境が長引けば長引くほど、
今の子どもたちが成長した時に、
「子供がほしい!」「子育てしたい!」と思えない時代になってしまうのではないでしょうか。

国家資格キャリアコンサルタント
非公開: 宮森 香理Kaori_Miyamori

北海道出身。関西の大学へ進学後、新卒で入社。広島⇒神戸⇒札幌と様々な拠点にて勤務。現在は、北海道・東北エリアの薬剤師を中心に転職支援を行う。

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