政府は今期の通常国会に、受動喫煙防止強化策を盛り込んだ 関連法案を提出する方針を示しています。
厚生労働省が2016年秋にまとめた原案では、医療機関は「敷地内禁煙」となっていますが、
これに対しては慎重な意見もあります。
現行では、禁煙の要件がある診療報酬を届け出ている場合などを除き、
医療機関内での喫煙に関する規制はありません。
ただ、大半の診療報酬は「建物内禁煙」が要件である上、
緩和ケア病棟や精神病棟は対象外となっています。
このため、敷地内の全面禁煙に対しては、一部の病院団体から慎重な意見が出ているのです。
一方、世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)は、
「たばこのないオリンピック」を共同で推進し、近年の開催地ではいずれも、学校や医療機関、
公共交通機関などで、罰則を伴う対策が講じられています。
ところが、日本の法律では、受動喫煙対策は管理者の努力義務にとどまっています。
東京五輪・パラリンピックが3年後に迫る中、国は世界の潮流に合わせる形で、
受動喫煙対策を強化しようとしているのです。
こうした国の方針に対して、最も激しく反発しているのが、
飲食店などサービス業の業界団体です。
厚労省案では、飲食店は「原則建物内禁煙」となっており、
喫煙室の設置は可能ですが、現在、多くの飲食店が導入している、
室内で喫煙席と禁煙席を分けるやり方は認められなくなります。
このため、中小の飲食店は「規制への対応が難しい」と主張しています。
このように受動喫煙の問題は、非喫煙者の健康被害だけでなく、
飲食店を始めとしたサービス業にも影響が大きいことが分かります。
愛煙家の方々にとっては、喫煙場所の確保が悩みの種になるかもしれません。
キャリア編集部よりキャリアに役立つ情報をお届けします。