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キャリアアドバイザーコラム

高齢者の残薬管理~北海道が薬剤師会と連携し「残薬」減へ~

近年、増え続ける日本の医療費。

この医療費の伸びを抑制していくことを考えるとき、
お薬の話は避けて通れません。

北海道は、飲み残しなどで処方薬が手元に残る「残薬」を減らすため、
地域の薬剤師が在宅高齢者の残薬管理等をサポートする
「高齢者医薬品適正使用推進事業」を10月から小樽、北見、砂川、名寄の4市で開始いたしました。
(※来年3月末まで行う予定のようです。)

北海道内の調剤費はなんと、医療費全体の約2割を占めています。
※北海道の2017年度医療費は2兆1,149億円、調剤費は3,854億円となっています。

飲み忘れや思い違い、重複投薬等から発生している残薬問題の解消に向けて、
この事業を通し、医薬品や医療費の適性を図る予定です。

まずは、小樽、北見、砂川を適正使用推進モデル地区とし、
重複投薬をはじめ高血圧や糖尿病などにより長期処方を受けている在宅高齢者を対象に、
患者に残薬回収袋(ブラウンバック)を配り、薬局に持参してもらいます。

計30薬局が参加し、ブラウンバック持参時に

・服薬状況や健康状況の確認
・残薬量の把握
・サプリメント等との併用状況の把握
・副作用等の症状確認

などを行い、状況に応じて医療機関へ処方量の調整等を要請する流れです。

また、特に重複投薬患者を対象に地域の薬剤師が在宅療養患者を訪問し、
服薬や健康状況を確認し、後発医薬品への転換の働きかけなども行います。

そのほか、名寄では市立総合病院と門前薬局が協力し
ブラウンバック運動や残薬確認をはじめ、
アドヒアランスチェックの取り組みなども検討していくようです。

これらに合わせ、市町村保健師は健康状況の確認、
飲み忘れ等のフォローアップを行います。

ちなみに、事業を実施する各市の1人当たり調剤費は、
小樽が98,012円(療養費に占める割合20%)
北見が83,650円(療養費に占める割合22%)
砂川が99,539円(療養費に占める割合19%)
名寄が95,846円(療養費に占める割合23%)
となっているようです。

この残薬問題は国としてもさまざまな対策や取り組みをはじめていますが、
今回北海道の取り組みをご紹介させいただきました。

日本薬剤師会の調査によると、在宅の75歳以上でみても、
残薬の総額は年間およそ475億円に上ると推計されています。
専門家の分析では1,000億円以上の残薬があるとも言われています。

自宅にあるあまったお薬をかかりつけ薬局に持っていき、
薬剤師の方々にお薬の整理を相談したり、
私自身も1人の患者としても積極的にできることをやるべきだと感じました。

こういった一人ひとりの残薬を解消して、自身の医療費を安くするだけでなく、
できることから医療費削減につながる動きをしていくべきだと思いました。

国家資格キャリアコンサルタント
非公開: 宮森 香理Kaori_Miyamori

北海道出身。関西の大学へ進学後、新卒で入社。広島⇒神戸⇒札幌と様々な拠点にて勤務。現在は、北海道・東北エリアの薬剤師を中心に転職支援を行う。

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