失業保険とは、「失業手当」や「失業給付金」と呼ばれることもある、雇用保険の「基本手当(いわゆる失業給付)」の制度を差します。会社に勤務しているあいだに給与から、保険料が天引きされる公的保険制度の一種です。
雇用保険の被保険者は、定年や倒産、自己都合などで、退職した場合にお金を受け取ることができます。この失業保険は国が運営する公的な保険であり、各種手続きはハローワークで行われます。
そのため、失業保険を受給したいときは会社や国に申し出るのではなく、自分が住む土地のハローワークに手続きを申し出なければなりません。ただし、受給に際しては、「働く意思と能力があるか」ということが重要になってきます。
ハローワークにおいて「失業」とは、「就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にあること」と定義付けられており、再就職のための生活支援を目的として失業保険(失業手当)を給付しているからです。
つまり、失業された方が安定した生活を送りつつ、1日も早く就職していただくために給付するものです。ちなみに、退職すれば必ず受けられる保険ではなく、一定の受給要件を満たした場合にのみ受給することができます。
この受給要件とは・・・
原則として、離職前2年間に被保険者期間が12か月以上必要となります。
万が一、倒産・解雇等の理由により離職した場合、期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと、その他やむを得ない理由により離職した場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上必要です。加えて、雇用の予約や就職が内定及び決定していない失業の状態にある方にのみ支給されます。
この失業の状態とは、次の条件を全て満たす場合のことをいいます。
・積極的に就職しようとする意思があること
・いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること
・積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと
あいにく、次のような方は、受給することができません。
(一例)
妊娠、出産、育児や病気、ケガですぐに就職できない、就職するつもりがない、家事に専念、学業に専念、会社などの役員に就任している(※詳細はハローワークで御確認ください)、自営業の方など。
上記の要件をすべて満たすことで受給対象となります。
もし、自己都合で退職した人が受給の手続きをすると給付の制限期間が3か月あり、また認定日を経てようやく受給となるため、実際に手当が振り込まれるのは4か月ほど先になってしまうのです。
一方、会社の都合で退職されたケースですと、失業手当の給付の制限期間がありません。申請から認定日などを経て大体1か月くらいで最初の手当てを受け取ることができるのです。
ただ、失業手当の給付の制限期間について、10月29日に厚生労働省は、自己都合で離職した際に失業手当が給付されない期間を現在の3ヶ月から短縮する方向で検討をはじめました。
働き方の多様化や高齢者の就業拡大で、仕事を辞めて転職する人の増加が予想されており、雇用改革の三本目の矢として掲げていたセーフティーネットの整備など制度面で対応を進めるようです。
厚生労働省に設置されている審議会等の一つである労働政策審議会では、「就職までの生活の安定を考えると、給付制限期間を短くするべき」など、肯定的な意見が出ていたとのことでした。今後、厚生労働省は財政面なども検証しながら議論し、年内にも結論を出す方針を固めたようです。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、この給付制限期間は元々は1ヶ月だったのですが、安易な離職を防ぐため、1984年に3ヶ月に延長されていたのです。
日本の政府は「働き方改革」などで、雇用の流動化につながる施策を進めているため、制限期間の見直しに向けた検討をされているのではないでしょうか。
ちなみに、前年度の失業手当の受給者数と受給日数は下記の通りです。
2018年度の失業手当受給者数:約106万人
2018年度の失業手当平均受給日数:105.6日
今回の期間短縮で受給日数が伸びる可能性が懸念されていますので、そういった点も含め今後どんな展開になっていくのでしょうか。
※参考コラム
「働き方改革」とは?
退職時に受け取りが必要な書類とは?
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